「藤Ｐ先輩、今日授業あったんですね。」
ベローネでは女子部と男子部の試験期間が１週間ずれており、男子部の実力テストは先週済んでいる。
その後はしばらく授業が休みになっていて、補講に来る者と部活に来る者のみが登校していた。
「いや、今日は生徒会の会合なんだ。そのあとサッカー部に行くつもりだけど。」
「あぁそっか。高等部でも生徒会に所属してるんですね。すごいですね。」
「そんなことないよ。ほとんど雑用係だし。美墨さんの方こそ入部して半年も経たないのにレギュラー入りすごいね。」
「ははは、なんとか入れました。」
中等部の頃はあまり話しかけてくれなかった彼女。今では顔を合わせれば軽口くらいはたたけるようになった。
初めて会った時の頃を思えば進歩した、と言えるだろう。
でもこれがボーダーライン。
これ以上踏み込むことができない。
ちらりと横目で彼女の様子を窺うが、特に、何の変化も読み取れなかった。
以前のように目があって、赤面されたり、狼狽えたりされれば、勘違いも出来るというものだが、変化のない現状は気のない証拠のような気がする。
ふうと深く溜め息をつく。
「先輩お疲れですか？」
オレの様子に気付き、顔を覗き込んできた。
間近に感じる彼女の気配に狼狽える。
「いや、大丈夫。」
さりげなく身体を引き、彼女と距離を取る。
微妙な空間が苦しい。近付きたくなり、離れたくもなる。何よりこんなふうに意識しているのが自分だけだろうと考えると胸が苦しい。
「先輩！たこカフェによりませんか？最近あかねさん新製品作ったんです。疲れた時には甘いものが一番だと思います！！」
気遣ってくれる彼女を見るとますますやるせなさが満ちてくる。だからと言ってこの関係をはっきりしたものにする勇気はなくて。
「うん、ありがとう。それはちょっとよってみたいかな。」
ぬるま湯の関係が心地好すぎて変えれない。離れてしまうならいっそ一生このままで良いと思ってしまう。
肩を並べていると、甘さと苦みがごちゃまぜになり、頭がくらくらした。
(好きだ…。)
終着点の見えない片恋に酔い、彼女に遅れないように一歩踏み出した。

いっそ夏の陽射しがこの恋(キモチ)を焼き尽くしてしまえばよいと思いながら。

＞ひゆはよりよねさん
拍手＆キリ番GETありがとうございます！
いつも長文感想いただき（笑）本当に嬉しいです。
攻め攻めなぎさですね？！
頑張って書きたいと思います。

＞ターリィさん
初めまして、遊びにきてくださってありがとうございます。
夜が白むまで読んでいただけるなんて感動です！！！
今後も楽しい藤なぎ街道を爆心したいと思います。
ぜひまた遊びにきてください。

＞ご訪問いただいた皆様
ブログ開設し、どうなることかと思っておりましたが、なんとか続けることができています。
これも遊びにきてくださる皆様のおかげです。
いろんな方に新たな藤なぎを頂戴し、（よろずサイトなのを忘れそう…。）
楽しんで書いていきたいと思います。
またのご訪問をお待ちしております。