「…なに？」
多少つっけんどんなのは勘弁してもらおう。
昨日は遅くまでクリスマスパーティが開かれていたのだ。
「やるよ。」
ついと差し出されたのは小さな袋。赤と緑の紐でラッピングされた袋は一目でクリスマスプレゼントと分かる。
「…ありがと。」
中を開けると出てきたのは小さな梟を模ったピンバッチ。
友人の心づくしのプレゼントに、不覚にも込み上げるものがあった。
奏太はいつも優しい。彼の姉と同じように。
「ありがと、奏太。」
きちんと顔を上げ、礼を述べるとお日様のようなぴかぴかの笑顔で彼はどういたしまして、と言った。

それは今年最高のクリスマスプレゼント。


fin.



小学生、小学生と念じながら書きました。
でもこの二人萌えまくります。

「どうしたの？」
背の高い、学生服に身を包んだ男が声をかけた。
「あれ？和也さん？」
知己を認めた少女は警戒心を緩める。男の方は足を早めて少女の元へと駆け寄った。
「咲ちゃん。どうしたの、こんなところで。」
「えっと…実はちょっと転んじゃって。」
へへ、照れ隠しに笑う。子猫に気を取られて足元が不注意になり、転げ落ちた。その際、足を変な風に捻ったらしい。歩けないほどではないが、自宅まで歩き続ける自信がなく、どうしようかと思案していたところだった。
「和也さん、すいません。ちょっと家に知らせてもらって迎えに来てもらえるよう伝えてもらっていいですか？」
その頼みに美翔和也は難しい顔を見せる。それをみて、図々しかったかな、あたしの馬鹿、と日向咲は顔を引き攣らせた。
「それより送っていくよ。こんなとこに咲ちゃん一人にするのは心配だし、その方が早いし。」
「えぇ？でも！」
咲が焦ったように声を高ぶらせるが、和也は意に関せず咲の背中と膝下に腕を通した。
よいしょ、と掛け声をつけて咲を抱き上げる。
思ったよりずいぶん軽い。スポーツマンで筋肉質ならもう少し重いかと思ったが、と余計なことを考えてしまい、口許を緩ませた。
咲はますます慌てて和也に向き直る。
「和也さん、あのっ、私重いし！自分で歩きます！！！」
「そんなことないよ。軽いよ。いいからじっとしてる。でないと落とすかもしれないよ？」
流石に危ないと思ったのか、腕の中の彼女は暴れるのをやめ、大人しくなった。ゆっくりと自転車まで運び、傍らに降ろす。
自転車のスタンドを起こすと、咲に後ろに乗るように伝え、ペダルを漕ぎはじめた。ゆるゆると坂を昇っていく。
背中に彼女の体温が伝わり暖かい。
無言で過ぎる時間。夜の透き通った空気と相まって星空が幻想的に見えた。
夢みたいだな。
きっと、後ろの少女は親友の兄が自分を異性として意識しているなんて思ってもみないに違いない。
少しだけ、彼女の隙に付け入る自分に嫌悪感が沸き上がった。
「綺麗ですねぇ。」
後ろから響いた高い声に、はっと意識を取り戻す。
「わたし、舞と和也さんが空を観る楽しさを教えてくれてから、夜空を眺めるようになったんですよ。」
「え…？」
「ほら、飛行機雲とか、天文台で見た星空とか！」
「あぁ…。」
どちらかと言うと、飛行機雲の楽しい見方を教えてもらえたのは自分の方だと思う。
にこにこ笑いながら夜空を眺める彼女に暖かいものを感じながら、空を見上げた。
「…やっぱり咲ちゃんは向日葵みたいな子だね。」
「へ？」
「いや、なんでもない。寒いから早く帰ろうか。」
「はい！！」
元気な明るい声に気分は上向きに変化する。
まだしばらくこの曖昧な関係が崩れることはなさそうだが、それもまぁいいか、とぼんやりと思った。
「咲ちゃん、しっかりつかまっててよ。」
「はい！！！」
ぎゅっと廻される細い腕。
今日はこの役得だけで、満足するとしよう。


fin.


和也さんはやたら大人な雰囲気なので、緊張します。
だいたいクリスマスの時の咲へのアプローチってひどくありません？
相手中学生だよ、和也さん！
って言いたくなりました。
私の中で藤村は基本グレーなんですが、和也さんは真っ黒です。
あと、数話見直しただけなので、嘘ついてるとこあるかもです(汗)
S☆Sで一番好きなキャラはキントレスキー！絶対いいと思います。敵キャラがかなりファンキーな印象がありますね、S☆Sって。

体中擦り傷だらけ。だけど、ほのかはふんわりと微笑む。
「大丈夫よ。」
そのまま視線を転じ、巨大な敵を睨みつける。
「あれも元は人の気持ちのこもったものだったのに、あんなふうにするなんて…。」
元々は小さな人形だった。
病気の女の子が大事にしていた母親が作ったというかわいい人形。
それにザケンナーをとり憑かせ、あたし達を襲った。
倒したと思っていた闇の使徒。だけど、それは終わりではなかったらしい。
「この世界の闇の感情が増えれば、闇の使徒も復活する、なんてね。」
あたしは眼下を睨みつけた。
そこには１体ではない大きな影が蠢いている。複数のザケンナーが光の気配の濃いあたしたちを探しているのだ。
「でも、それでもこの世界を守らなくちゃいけない。あたしたちの大事な人のために。」
ほのかとあたしは目を合わせて黙って頷いた。
もう決めた。
恋ができなくても、部活に専念できなくても。
「プリキュアはあたしたちしかいないから。」
これはあたしたちだけが出来ること。大事な人を守るために戦うとあたしたちは決めた。
それが、大好きな人との別離を示すことでも。
少し離れたところには大切で、絶対に傷つけたくない人がいる。
本来こういったことは男の子が女の子に思うことなのかもしれないけど。
「絶対にあの人を守るって決めたから。それが、一緒にいられないことになるとしても。」
あたしの傍にいたばっかりに大きな迷惑を被り、あの人は今冷たい地面に横たわっている。
その背には大きな傷。
深いものではなく、今後に影響するほどのものではなかったけど、それでもあの人にケガをさせた、という思いはあたしを苛む。
一緒にはいられない、そう思った。
一緒にいたい、心底そう願うのに。
「絶対に、この世界を守る。」
それは願い、それは祈り、それは…使命。
私自身の願いのためにも、今はがむしゃらに闘う。
「いくよ、ほのか。」
「えぇ。」
お互いの顔を見合わせ、力強く頷いた。
二人だからできる、二人だから支えられる、二人だから笑っていられる。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！」
かけ声をはりあげ、敵に向かって走り出す。
何度でも立ち上がる、何度でも倒す。
それがあたした『プリキュア』の使命だから。
これがあたしたちのケジメ。


fin.


なぎほの？
闘っている時は、二人ともひたすら前を向こうとしていえ、潔くてかっこいいなぁと思います。