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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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「あ…雨。」
雨戸を開けた途端に飛び込んできた小さな雫を指先で払い除ける。
ひとつ、溜め息をついて硝子戸を閉めた。
雨は苦手。
昔の情景を思い出すから。
浮かび上がった彼(ひと)を振り払うように頭をぶるぶると振った。
強い眼差し。真っ直ぐ伸びた黒髪。顎のラインから雫が滴り落ちる様は、あまりに綺麗で、悲しかった。
 
 
 
 
 

深いボルドーの傘をぽんと広げ、私は雨の中歩みを進めた。
今日はベローネ学園で科学部の研究発表がある。
今回のテーマは自然エネルギー。太陽光で蓄電するのも良し、効率的な消費方を考えるのも良し、最近の世情を鑑みたテーマだった。
私は冬の消費エネルギーについてのディスカッションをすすめ、ユリコと共同発表することにしていた。
とても楽しみにしていた今日(ほんばん)なのに、気分が乗らない。
傘の隙間からそっと天(そら)を覗き見る。
朝より雨脚が強くなった雨。こんな日はどうしても思い出すから嫌になる。
ふと、前方に佇む影を見つけた。
「キリヤくん…。」
川面を鋭い眼差しで見つめ、微動だにしない彼。そんな姿を見ていると、とくりと鼓動が鳴った。
ゆっくりと彼の方へと歩みを進める。
向こうも気付いたようで、此方に視線を向け、厳しい眼差しを少し緩めた。
「雪代先輩、こんな雨の日にお出掛けですか?」
「えぇ、今日は研究発表の日なの。」
「あぁ、以前仰ってた再生エネルギーの件ですね。障害は解消しましたか?」
「…解消と言うか…迂回路を見つけた、が正しいかしら。」
「それなら問題解決はされているということですね。よかったですね。」
「…そうね。」
何の事はない、日常会話。こんな細やかな時間が愛しい。
「…元気がないように見えますが、他に何か問題でも?」
「……いいえ。」
貴方にいつでも会えるわけではない、ということ以外は何も。
時間が迫っている。私は諦めたように細く息を吐き、踵を返した。
「…そろそろ、行かなきゃ。またね、キリヤくん。」
「…えぇ、また。」
 
彼の瞳が名残惜しそうに見えるのは、私の願望だろう。
引き留められないことに一抹の淋しさを覚えつつ、私は彼の傍を離れた。
 
この想いを抱えるのは辛すぎて。


 

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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