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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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深々と冷え込む渡り廊下を、ぎしぎしと軋ませながら、足を運ぶ。
久方ぶりに訪問する日本家屋は時間が止まっているかのように、記憶の中の景色と変わらず佇んでいた。
ほのかの部屋も昔と同じ。
そこに、足止めされた彼女がいるはず。
この屋敷に住む家人は離れへと移っている。後でほのかの祖母にも礼を述べねばならないだろう。
それよりもまずは自分の問題に片をつけねばならない。
躊躇する心を反映してか、足取りは緩やかだ。
それでも、限りある距離。暫くすれば目当ての部屋の前についてしまった。
一つ、深呼吸する。そして障子に手をのばした途端、内側から開いた。
「ほのかぁ?何やってんの?もうそろそろ落ち着いたし、帰る……ね………。」
オレと目が合うと、彼女は顔を引き攣らせて障子を閉めようととするが、隙間に膝を割り込ませ、こじ開けた。
「先輩……。」
「美墨さん、いきなりごめん。話をしたいんだ。」
「私には話をすることなんてありません。」
警戒してか、襖に背中を預け、肩を怒らせる。この反応に傷付くがこれでくじけていては先に進まない。
「ごめん。」
とにかく謝罪する。
「こないだは嫌な態度とってごめん、今朝は…あんなことしてごめん。」
思い出したのか、彼女の頬に朱が挿す。
「赦してほしいんだ。美墨さんとこんな感じでいるのは、正直辛い。」
無言で顔を背け続ける。けど、彼女が耳を傾けているのを感じる。
「お願いだから…こっち向いてくれないかな…?」
「………どうして…あんなこと……。」
視線は背けたままで、今朝の行動の意味を問うてきた。この状況での告白はかなりのプレッシャー。それでも答えなければならない。
「……………好きだから。」
一度吐き出すと止まらない。
「美墨さんが好きだから、触れたかった。」
「うそ……。」
「嘘じゃない!」
不安を与えないようにとっていた距離を一息で詰め、必死で言い募る。この気持ちだけは否定されたくない。
右手を襖に押し付け、彼女に触れないよう、微妙な距離を取る。そして、告解する。
「好きだ、美墨さんが好きだ。今も触れたい。一緒にいたい。」
身じろぎもしない彼女にこの気持ちが届いているかは解らない。それでもありったけの勇気を持って、この気持ちを伝える。
「君が好きだ……。」
冷え込んで澄んだ空気の中、オレの声だけが響いていた。
届いて欲しい、この想い。
これ以上はないシンプルな言葉をただひたすらに繰り返した。


抱き続けた想い 後編




顔を伏せ、身じろぎもしない美墨なぎさの耳元に囁く。
「好きなんだ…美墨さん。」
ぴくり、と反応し、少しづつ膝を折って、襖に寄り掛かりながらへたりこんだ。それに合わせてオレもしゃがみ込む。
心臓がばくばく鳴る。
ついに吐き出した想いが暴走しそうだ。
「美墨さん……。」
愛しくて愛しくて耳朶に口づけそうな距離で名前を呼ぶ。その度に恥ずかしそうに身をよじる彼女が可愛くて仕方なかった。
逃げることも拒否することもない彼女に期待を抱く。
「抱きしめて、いい?」
相手が答える前に腕を彼女の背に廻した。髪に顔を埋め、垣間見える首筋に軽く唇を押し付けた。
「や………。」
拒む言葉が聞こえるが、行動には現さない。そのことに期待は増し、つい、増長してしまう。
「美墨さん………オレのこと好き…?」
ビクリと肩が震えた。
大きな瞳が滲む。答えはないが、態度が肯定している。
「教えて…?」
それでも言葉が欲しい。
確信が欲しい。
「……好き……。」
小さな小さな声が聞こえた。
「どうしても諦められなくて、伝えたくても伝えられなくて、いっつも自己嫌悪してて、でも止められなくて。」
涙の筋が出来た面を上げた。しっかりとこちらを向き、オレの想いに応える。
「あたし、先輩のことが好きです。」
揺るぎない視線にオレはたじろいだ。彼女の真っ直ぐな想いを受け止めてよいのか逡巡した。だけど、彼女ほど純粋ではないとしても気持ちは交わっている。
「…ありがとう。」
素直に礼を述べる。
ふわふわのマシュマロのようになぎさは甘く微笑んだ。その表情に引き寄せられる。顔の輪郭に両手をそっと添える。そのまま顔を上向かせて唇を落とした。
二度目のキスは甘く、体の芯が痺れるようだった。


「そういえばさ、美墨さん。なんか誰かに告白されて付き合うことになったんじゃないの?」
ほのか達に礼を述べ、なぎさを家まで送る道中、気になっていたことを問い質してみた。
彼女は一瞬キョトンとした表情を浮かべる。
首を捻り、思い当たる節がないようだったので、自分の見たことを告げてみた。
「…2ヶ月くらい前に、倉庫の裏で告白されてなかった?」
「2ヶ月前の倉庫って……あぁ、ほのかが好きで、あたしに取り持ちを頼みたいって言ってた人のことですか?」
ほのかを……?
ってことは……。
「考えさせてくださいって返事して、ほのかに相談したんですよ。そしたらあたし込みでグループで一度遊びに行こうってことになって、結局そこで彼、ほのかに告白してお断りされてましたケド。あれ?なんで先輩そんなこと知ってるんですか?」
オレの早合点………。
恥ずかしくて穴があったら入りたいとはこのことか、と思う。
思わずその場にへたり込むと、なぎさもしゃがみ込み、心配そうにこちらを伺ってきた。その顔を横目で見て、ほっと息をつく。
ま、いっか。
何にせよ、彼女は手に入ったのだ。喜ぶべきだろう。
今朝までのどん底気分と比べたら、天と地ほど違う。
「ねぇ、美墨さん。クリスマスは一緒にいれなかったけど、大晦日と初詣は一緒にいたいな。」
「え…。」
真っ赤になってこちらを見る彼女の表情は、とてつもない破壊力を持っている。この場で襲い掛かりたい衝動を宥めながら、そういえば、と手を打った。
「夜通しって言ったら親御さんの許可をもらわなきゃね。丁度いいしご挨拶に行くよ。」
「え?!ちょ…ちょっと待ってください、うちに来るんですか?!」
「うん。ダメ?」
「ダメってか…心の準備が…!」
狼狽える彼女の腕を取り、こちらに顔を向けさせた。
「オレは、君を逃したくないし、きちんとしておきたいんだ。これ以上、変な横槍入れられるのも、邪魔が入るのも御免だ。」
この関係を確実なものにしたい。それには親公認になっておくのが手っ取り早い。
「だから、紹介して、ね?」
にっこりと笑ってダメ押しする。数日前とは違う、清々しい気分。寒風吹き荒れる冬真っ只中、気持ちの中だけは春が訪れていた。



fin.


唐突に終わります。
ラストもうちょっと膨らましたかったけど、また長くなりそうなので断念。
キリリクで前中後編なんてすみません(汗)

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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