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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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シャワーの水音が響く。
「美墨さん、ここに着替え置いとくよ。」
できるだけ湯気で曇ったガラス戸を見ないように目を背けながら省吾は声をかけた。
「あ、ありがとうございます!」
くぐもった声が聞こえて来る。
それだけでどうしようもなく、彼女の現状を想像してしまい、慌てて脱衣所を出て台所に向かった。
温かいココアを作り、精神を統一する。
そうでなければ暴走しそうで、自分の理性に自信が持てなかった。


王道Pattern.4




そもそも、この状態は偶然がもたらした産物だ。
偶然、ほのか宅から帰る途中という美墨なぎさを見つけ、声をかけて少し話をしていたら、突然土砂降りの雨に襲われた。なぎさに省吾の家での雨宿りを提案し、なんとか家に連れ込み…もとい、連れてきたのだが、彼女には着替えがない。シャワーを使うことをすすめ、洗濯機の場所も伝えて使うように言った。
当然、着替えも必要だ。
女性用は母のものしかなく、仕方なく省吾は自分の昔の服を引っ張り出し、バスタオルと共に脱衣所に運んだ。そして冒頭のようとなる。
意識している女の子の無防備な様子はとても心踊るもので、ゲリラ豪雨に感謝してしまった。
「すいません、先輩。助かりました…。」
シャワーを浴び終えたなぎさが、リビングルームに入ってきた。慌てて妄想していた頭を切り替える。なぎさに声をかけようと振り返ると、そのまま硬直してしまった。
しっとりと濡れている髪、シャワーの熱で温まり上気した肌、恥ずかしそうに伏せる瞳、少し大きな服を袖を捲り着ている姿、どれもが彼女を艶っぽく見せている。
「……先輩?」
紅い唇が開き、舌を覗かせる。耳に転がる声がリフレインする。
「藤P先輩!」
はっと理性を取り戻し、ごめんと彼女に伝えた。
ココアをお盆に載せてテーブルへと運ぶ。
「よかったらどうぞ。」
湯気のたつカップを渡すと、嬉しそうに手をのばした。そのままコクリを一口のみ、唇についた雫を舐め取りながら、美味しいと応える。
姿にますます興奮し、ぎこちなく視線をテレビに向けた。リモコンを取り、スイッチを入れるとありがちな恋愛ドラマが放送中だった。しかもタイミング悪く濡れ場の真っ最中。慌てて電源をオフにして、彼女に目を向けると、顔を真っ赤にした彼女がいた。
気まずい空気が流れる。
なんとかごまかそうとカップを手に取り口をつけた。
コクリと熱い液体を喉に送る。湯気ごしに見る彼女はもじもじと体を揺らしている。
どうしよう、可愛い。
どうしようもなく愛しさが溢れてくる。
今までは気になる、くらいだと思っていた。けれど、これほど夢中になってしまうのは、ひょっとして…と思う。
「あの…あたし片付けますね…!」
いたたまれなくなったのか、なぎさが勢いよく立ち上がる。それを制しようと省吾も椅子をひいた。
「いいよ、置いといて。オレが…!」
声をかけるタイミングが悪かったのか、ぴくりと体を震わせたなぎさがバランスを崩して倒れ込む。それを庇おうとした省吾も共に床に転がった。
「いたた…。」
「すいません、あたしったら……!!!」
近すぎる距離に二人は視線をはずすことすらできなくなる。なぎさに馬乗りになる形で硬直した省吾は、身じろぎもできずうろたえた。
下には目を見開いたなぎさがいる。
髪から落ちた雫が頬に水玉を作っていた。薄く開かれた唇から吐き出される温かい空気は、省吾の首筋にかかる。
ヤバい、本気でヤバい。離れられない。動けない。
頭がだす危険信号を体は受け取ってくれない。
全身が敏感に彼女に反応する。心臓がどくどくと脈打つのがわかった。あまりに大きな音で、頭まで響いてくる。
喉はカラカラになって、ごくりとツバを飲み込んだ。
「あ…あの…せんぱい…?」
不安気な彼女の声が聞こえる。それさえも耳に心地好く、オレの劣情を駆り立てた。
……もう無理だ。我慢できない。
「美墨さん…オレ…。」
このまま唇を奪おうと顔をますます近づける。もう、あと5㎝ほど。
「ただいまー!!!」
もう一息というところで、大きな声が響いた。あまりのことに一時茫然とするが、バタバタと靴を脱いで上がってくる音が響いて慌てて体を離した。
「省吾、なんか女物の靴あるけどお客さんー?」
リビングに母親がひょいと顔を覗かせた。
「あら、こんにちは。」
「こ…こんにちは。初めまして、美墨なぎさです。」
「ご丁寧にどうも。省吾の母です。」
意味深になぎさと省吾を見回し、母は耳打ちした。
「なあに?ひょっとしてお邪魔だった?」
「違うよ。美墨さんは雨宿りに来ただけ。すごい濡れたからさ。連れてきた。」
「ふぅん?」
ニヤニヤ笑いながら全く信じてなさそうな表情で、ごゆっくり、と言って台所へと向かっていった。
「あ…でもあたしそろそろ失礼します。」
「えー!晩御飯食べていったらぁ?」
母が不満の声を上げた。
「ありがとうございます。でも、家にもすぐ帰るって言ってたので晩御飯用意してくれてるだろうし、今日はこれで失礼します。」
きっとそれだけが理由ではないだろう、視線がこちらにちらちら流れている。
「じゃあ、美墨さん着替えておいでよ、家まで送るよ。」
「いえ!そんな結構です。」
「駄目だ。女の子が夜道一人なんて。」
「じゃ…駅までお願いします。駅からはすぐですし。」
強情に主張する彼女に、このままではいつまでたっても話が進まないと感じたオレは仕方なく了承した。
なぎさが着替える終わると、着ていたスウェットを手渡された。
「あの、先輩有難うございました。よければこれ、洗ってお返ししたいんですけど…。」
「いや、ちょっと間だけだしいいよ。」
受け取ったスウェットを素早く自分のスポーツバッグに入れると、彼女を促して外へ出た。
「じゃあ、ちょっと出てくる。すぐ帰るから。」
「行ってらっしゃ~い、なんなら遅くなっても構わないわよ!」
いやに煽る声援を背に受けながら、玄関を出た。
雨の後だからだろうか、空気が清々しい。満点の夜空の下、なぎさを駅まで送り届けた。その間お互い終止無言。話のきっかけが作り難かったこともあるが、こうして二人で歩くことが夢のようで、この空気を壊したくなかった。
「じゃあ、本当にありがとうございました。」
彼女は定期券を取り出すと、ひとつ礼を残し、改札をくぐり抜けた。
「あ、美墨さん!!!」
思わず声をかけてしまったが、二の句が告げない。
「え…と…。」
吃りつつ、なんとか言葉を捻りだそうとするが、なかなか思いつかずに、空白の時間が流れた。
「先輩…今日は嬉しかったです。……失礼します!」
真っ赤になりながら、意味深な言葉を残して彼女はホームへと駆けて行った。
残されたオレは彼女が告げた言葉を反芻しながら帰路へとついた。明日も彼女に逢えることを祈りながら。

家についたオレは、母のランランと光る好奇心の眼差しをよけながら、自室へと戻った。手には先ほどまでなぎさの着ていたスウェット。
それを抱きながら布団に入ると、微かに彼女の匂いが浮かんだような気がした。


fin.


藤Pラッキーデイと名付けたい感じです。
ちょっと変態ちっくな気もしますが、愛がすぎるゆえです。
シャワールームのなぎさは、色々と刺激が強かったのかもしれません。
湯気越しとか、ガラス越しとかって萌えますし。
藤P母は軽い感じかなぁ。元気でおかんって感じの人。父はきっと物静かでにこにこ笑っている人かなぁと。
そして、私の中で藤Pはひとりっこです。
床に倒れ込んでお互いを意識する王道シーン&シャワーでぽたぽた雫を書きたかったのです。

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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