いつものように二人で帰った日。
朝夕は少し秋らしくなってきたね、などと他愛もない会話を紡ぎながら歩いていた。
付き合い始めて近づいた、二人の距離。
手を繋いで歩くことが定番になってしまったため、今では０（ゼロ）距離だ。
ふと、彼の影が顔にかかったのに気がつき、目線を上げた。
そこには彼の幸せそうな表情。
少し高潮した表情で、あたしを一心不乱に見つめているので、恥ずかしくなって顔を伏せた。
ぎゅっと強く握られる右手。
顔を上げて、と催促しているかのよう。
少し、覗き見るように視線を上げると、彼が真剣にこちらを見ていた。
それがなんとなく可愛くて吹き出してしまう。
くすくす笑いながら彼を見遣ると、彼の顔が近づいてきた。
鼻と鼻がこすれあうほど近くにきて止まる。
熱い吐息が唇をくすぐり、思わず舌で唇を舐めた。
それを追うように彼の唇が近づく。
あたしの湿った唇に彼の唇が重なる。
距離はマイナスとなった。

fin.

キスする直前「目…閉じて…。」とかも言わせてみたい。
だけど開けたままするのも萌えると思う。

[4回]