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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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喫茶店で呆然と立ち尽くす美墨なぎさを見て、透子にどうしようもなく嫉妬した。

今、彼女の心を占めるのは泉元でもオレでもなく、オレの又従姉妹。こちらに視線を向けない彼女に焦る気持ちが溢れてきた。


いつか貴女にこの気持ちを届けよう 5


「遅かったのね?」
玄関に上がると目下の恋敵である透子が声をかけてきた。
他の人間なら色めき立つであろう美貌を見ていると心がささくれ立つ。しかも頭の回転もよく、人の心の機微にも聡い。周囲の人間にもとても慕われている。オレだって、美墨さんのことがなければ尊敬できる人だと答えただろう。
そう考えていると、先刻の美墨さんの台詞がとても気にかかった。
『流石、先輩の又従姉妹ですよね。』
透子の後ろ姿を目で追いながら、彼女はそう呟いた。
あれはどういう意味だったのだろう。
透子のことも忘れて思索に耽りかけ、はっと顔を上げる。
「あ…ごめん、美墨さんを送ってたからね。」
その言葉に透子は反応した。
「ふうん…彼女何か言ってた…?」
目をキラキラと輝かせて、オレを見詰める。
「何かって…どんなことだよ。」
何を言えば良いのか分からず、オレは戸惑って答えた。
無言でこちらを観察していたかと思うと、ぽんと手を叩き、一人でうんうんと頷いた。
「そっかー。あのタイミングだったら相談してもおかしくないと思ってたんだけど…つくづくあの子可愛いわよね。」
「一人で納得するなよ…。」
何かわからないが、取り残されると理不尽な気分になる。透子にどういう事かを問いただすため、彼女に詰め寄った。教えてくれないかと思ったが、意外とすんなりと白状する。
「告白しただけよ。」
さらりとした爆弾発言。あまりの衝撃に声も出なかった。
「貴方がいいタイミングで来てくれたから、返事は次回に持ち越しだけど…即座に断られはしなかったわね。」
続く言葉に何も言えず頭が真っ白になる。
即断しなかったということは、少しは脈ありということ…?というか、こいつなんでそんなにさらっと言えるんだ!
自分は気付いてから悩みまくりだの、告白する勇気が出ないだのウジウジしているうちに、先にやられてしまった。
「ということで、もう朝夕の警戒は必要ないんじゃないかしら?それとも、一緒にいれる理由付け欲しい?」
図星をさされて一瞬ぐっとつまる。
「…警戒は必要だろ?変なところに連れ込まれないように。」
無理矢理理由を作り反論した。そこまで酷い人間だと思っていないけれど、不安がないわけでもない。
あら、失礼ーと透子が口を尖らせた。
「相手が了承してないのに、連れ込んだりしないわよ。女同士の未成年が入れるところも少ないし、ね?」
「そういうこと知ってるってのがすでに問題だろ?!」
会話の内容からついつい連想してしまい、赤面してしまった。真っ赤になった面を透子にしげしげと眺められ、ますます気恥ずかしくなる。
「ホント純心ねぇ。今時の高校生で貴方みたいにモテる人間でそーいうなのって珍しくない?」
知るか、と吐き出すように言って、顔を背けた。興味なかったんだから仕方ないけど、経験があれば、もう少し上手く対処できただろうか、とラチのない後悔をする。
話はそれだけか、と言い捨てて、階上の自分の部屋に向かおうとすると、透子から待ったがかかった。
「私、今度の日曜、美墨さんと会うつもりだから。」
思わず振り返って透子の端麗な顔を見詰めた。
「恋敵に宣戦布告しただけよ。」
ふふ、と笑う透子は心底綺麗だと思った。



「おはようございます、藤P先輩。」
朝はほのかと登校している彼女だが、同じ体育会系の人間のため、かちあうことはままある。
今朝はお互い試験前のため朝練はなかったらしい。駅前でばったりと出くわした。
「おはよう、美墨さん。」
自然と笑みが零れる。それを見た彼女はパッと顔を背けた。
「美墨さんどうかした?」
なぜか耳を赤く染める彼女の顔を覗き込もうとするが、顔を背けてしまい、捕まえることができない。
「美墨さん?」
頭を押さえ込んで目線を捉えようと手を伸ばしたところで、耳慣れた声が響いた。
「おはよう、藤村くん。」
振り返ると予想通りの人物がそこにいた。
「おはよう、ほのか。」
「藤村くん、私始めっからここにいたんだけど、気がつかなかったの?」
美墨さんしか目に入ってなかった自分に気付き、動揺を隠せなかった。熱が上るのが分かる。
「ごめん、気がついてなかった。」
素直に謝罪を口にすると、ほのかはそう、と言って未だに顔を背ける美墨さんへと向き直った。


気持ちが溢れていて制御が効かない。
顔を合わせると、他のものが全て消えてしまい、目は彼女しか追わなくなる。耳は一挙一動を逃すまいと彼女に集中する。喉は自身の熱で渇いてしまう。
初めての恋、それはこんなにも激しいものなのか。自分が壊れていくみたいだ。
女子部の門をくぐる美墨さんとほのかを見送りながら、オレは長く息を吐いた。
正直キツかった。
毎日顔を合わせると想いがつのる。否応なしに期待する。でも、会えなくなることはもっと考えられない。
指が、目が、耳が、彼女をもっと欲していた。彼女が足りないと叫んでいた。

「おい、藤P。」
声をかけられ、振り返るとそこには木俣がいた。
いつもの飄々とした感じが成りを潜め、眉間にシワが寄っている。
何か怒らせるようなことをしたか?
記憶をざっと探り、心当たりがないことを確認して尋ねた。
「どうかしたのか?木俣。」
「おまえ、何か悩んでるだろう。」
瞬時に問い直された。
木俣は人の機微を読むのが上手い。オレがいつもと違う様子なのに気がついたのだろう。
素直にここは相談することにした。
「………ちょっと屋上まで、いいか?」

屋上は風が気持ち良く通る。鉄柵のもたれて空を見上げると、透き通るような蒼。快晴だ。
ここにいると少し頭が冷えていく気がした。
「そっかー、なぎさちゃんをね。」
これまであったこと、美墨さんへの想いを木俣に語ると、重かった心が軽くなったようだ。
ふうと息を吐き出すと、躯から何かが抜け出て行った。
「よーやく自覚したかー!」
木俣は一人でうんうんと頷いている。
てか、よーやくって?
「いやーだってよぉ、なぎさちゃんに会うとにこにこしてんのに、自覚する兆しねーし、どう見てもなぎさちゃんばっか気にしてるのに、全然進展しねーし、流石に俺もお前はどこまで鈍いのかと…。」
「ちょっと待て。」
木俣の肩をぐっと握りしめ、オレは親友に詰め寄った。
「いつから、そんなふうに思ってた?」
「いや、いつからって…中等部から?」
そんな前から…?!
「お前…教えろよ!」
「えー、そんなん無理だろ?俺が言ったところで自覚しなきゃ意味ないし。というか、流石に今まで自覚ゼロとは思いもしなかっていうか。」
もう脱力するしかない。
「いや、誕生日プレゼント貰ってあんなに喜んでたし、自覚くらいしてたかと。」
「悪かったな、してなかったよ。」
口を尖らせて言う。拗ねるしかない。
「んで?」
木俣がオレに向き直った。静かな視線に気持ちが引き締まる。
「告白、すんの?」
「………わからない………。」
組んだ腕に顔を埋める。頬が熱い。
こんな表情見せたら、からかわれるのは必至だと思うと、顔を上げられなくなった。
ぽんぽん、と頭頂部をはたかれる。
「ま、頑張れ。」
「……あぁ。」
オレは短く答え、心の中で感謝の言葉を唱えた。





まだ続きます…。
5話完結のつもりが、木俣くん出したくなって、終われませんでした。
次でおしまいにしたいと思ってます。
ちなみに今三ノ宮に来ていまーす。
お買い物♪お買い物♪
本命はジュンク堂なんですけどね…。
帰りにお洋服買って、ケーキ食べて帰るぞ!

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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