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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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恋愛マンガの王道シーンって他なんだろ?
他に思いつかない…誰か教えてください!


ポッキーゲーム



部活からの帰り道、いつものようにスーパーにより、おやつのチョコを買いだめする。
今日はなんと特売デー。
30%オフという甘い誘惑に財布の紐は緩みまくった。
両腕にエコバッグとビニール袋を一つ下げ、足取りも軽く店の自動ドアをくぐる。
エコバッグひとつでは足りない程の買い込み量に機嫌を良くし、つい鼻歌が出た。
「チョコチョコチョコっと~♪」
自宅で亮太と歌う自作おやつの歌が、つい癖で出て来る。
そんな時、ドキッとする声が後方から届いた。
「凄い量だね。」
振り返ると予想通りの人物がそこにいた。
「藤P先輩!」
何故ここに、とか、こんなとこ見られた、とか、脳みそがぐるぐると渦巻く。とにかく恥ずかしい!
「えっとこれはその…弟の分も入ってるんです!!!」
適当なことを言ってみたが、先輩の含み笑いは止まらない。
「…先輩のいじわる。」
恥ずかしさが頂点に達し、この状況を持ち込んだ先輩に八つ当たりした。ぷくっと頬を膨らまし、上目遣いで睨みつける。
中等部の頃は頭半個分だった身長差は、今では頭一個分となっていて、睨みつけるにも少々首が辛い。
「ごめんごめん、恥ずかしがってる美墨さんも可愛いから、つい、ね。」
そんなことを言って、本当に愛おしそうに見つめられたら、もう何も言えなかった。頬に熱が上り、恥ずかしさで俯いてしまう。
「折角会えたんだし、ちょっとだけ散歩しない?」
手をあたしに差し出して、いつもの優しい笑みを浮かべられたら、脳内春一色になり、こくこくと頷いていた。

夕方とは言え、なにせ季節は真夏である。日はまだ高く、もうしばらく明るい時間が続く。
その上今日は記録的な猛暑日。茹だるような暑さと肌に纏わり付く不快感が人の出足を鈍くしているようで、多少は涼しくなる時間帯にも係わらず人気はほとんどなかった。
「ちょっと寄って行こう?」
先輩の提案で、川のすぐ側にある公園で、あたし達は足を停めた。
時刻は7時より少し前。
ここも例に漏れず人気は全くない。 
あたし達は小さなベンチに腰掛け、お互いの顔を見遣った。
「あ、先輩ポッキー食べます?」
晩御飯前だから、少しだけ、と先輩は応える。
その言葉にあたしは満杯のビニール袋の中からポッキーの箱を取り出し、中袋をびりりと破いた。
「あ、ダメだ。」
あたしは中の一本を取り出し、悲嘆の声を上げた。
高い気温のせいで、ポッキーのチョコレートは溶けてしまっており、隣とくっついたり、チョコレートが剥がれたり、まともなものが皆無になっていた。
「あぁ、暑かったからね。」
それを覗き込んで先輩は淡々と曰った。ひょいとポッキーの一本を取り上げ、口にほうり込む。
美味しいよ、と微笑まれたら、最悪な気分が一気に最上の気分になった。
「でも、手がベトベトになるか。………ねぇ、美墨さん。ポッキー食べさせてあげようか。」
「へ?」
箱からまた一本を取り出し、先輩はポッキーを差し出した。
「はい、あーん。」
「ええ?」
頭が真っ白になる。なんとなく卑猥な響きに聞こえるのは、あたしがヨコシマなだけだろうか。
「ほら、ますます溶けちゃうよ?手、汚すの一人でいいと思うし、ポッキー食べたいよね?」
そりゃそうだけど…。
あたしが躊躇していると先輩は唇の隙間にポッキーの先端を押し込んできた。
そこまでくると啣えるしかない。少しずつぽきんぽきんと音を鳴らせて食べ進む。最後の部分は先輩の指を噛まないように奪い取る。
「おいし?」
「………はい。」
先輩の顔が逆光でぼんやりと霞む。でもその表情はいつもの爽やかな笑顔とは違って見えた。
「じゃあ、もう一本どうぞ。」
また一本差し出され、それをまたぽきん、と音を鳴らせて食べる。
唐突に先輩は口を開いた。
「ねぇ、美墨さん。食べさせてあげるのも楽しいけど、一緒に食べていい?絶対ポッキーから口を離しちゃだめってルールで。」
意味が分からない。だけど、この体勢も恥ずかしかったので、先輩も食べてくれるなら、と思いこくこくと頷いた。
「じゃあ、…いただきます。」
先輩はポッキーの端を啣える。あたしの食べている反対側の部分を。
行き成りな至近距離と、想定外の事態にあたしはポッキーを口から離して逃げようとした。
しかし、いつの間にか腰には先輩の腕が廻されており、逃げられない。それなら、と口を離そうとすると、先輩の眉間に皺が寄った。
そっか、ポッキーから口を離しちゃダメってルール。………じゃあ、どうすれば!!!
身動きの取れなくなったあたしを満足そうに眺めて、先輩はポッキーを少しずつ食べ進む。
ぽきん、ぽきん。
ゆっくりと響く音にあたしは思わず目をつぶった。
段々と熱と息が近付く。
暖かい、柔らかいものが触れたかと思うと、腰をさらわれ、あたしは先輩の腕の中に閉じ込められた。
先輩の舌が、あたしの唇についたチョコレートを丹念に舐めとり、口の中に残っていたポッキーのかけらも掬いとる。
唇を離さず咀嚼し、先輩は再び舌を絡めてきた。
甘い、甘いキス。
ポッキーで酔いそう、なんて馬鹿なことを考える。
チョコレートとクッキー地が完全になくなる頃、ようやく唇が離れた。息は完全に上がっている。顔に熱が篭っている。きっと真っ赤になっていることだろう。
そんなあたしを見つめて嬉しそうに微笑み、先輩はご馳走様、と言った。
「もう…なんだったんですか。これは…。」
いつものキスよりゲーム感覚で、言葉に言い表せないくらい、ドキドキした。
「…ん?ポッキーゲーム。」
ポッキーを片方誰かが啣え、対向から別の誰かが銜える。決して口からポッキーを離してはならない。離したら負け、というゲームらしい。
こんなの、いつどこでするのか。
「愉しい、でしょ?」
なんでそんないろけのあるかおしてんですか。
邪一色の顔を見せられ、あたしはそう思った。
この人の甘さにはやられっぱなし。でも。いつか絶対仕返しするから覚悟しといてよね、と思う。とりあえず、と思いついたことを実行に移した。
「先輩。」
呼びかけて、手にしたポッキーを先輩の口に啣えるさせる。
そのまま広い背中に手を廻し、先輩の耳に言葉を注ぎ込んだ。
「だいすき。」
口に啣えたはずのポッキーが砂地に落ちた。それを確認してあたしは宣言する。
「あたしの勝ち、です。」



fin.


なぎさには絶対勝てません。

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HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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