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ご期待にそえているかはとっても不安ですが、楽しく書いています。
ちなみに透子さんのイメージキャラクターは、小田島友華先輩です。
小田島先輩ってお気に入りなんですよね~。
「こんにちは、美墨さん。」
朝はほのか、夕方は藤P先輩と帰宅するようになって数日後、気が緩んでいた頃に彼女はやってきた。
「透子さん…。」
相変わらず『美しい』という言葉がよく似合う。
流れ落ちる色素の薄い髪、先はゆるくウェーブしており、肩や腰に纏わり付く様は匂いたつよう。
膝丈のスカートがとても上品でよく似合っている。
こんな人が、好きだと言ってくれるなら、同性でも許容してしまいそうだ。
「こんにちは、透子さん。」
あたしは改めてきちんと挨拶を返した。
相手が礼儀を持って対応してくれるなら、それはきちんと返さなければ、と思う。
それに、藤P先輩の対処に不満もあった。
あの時は、ただただ「こんな綺麗な人が同性愛者なんて。」と偏った考えに囚われてしまい、そのまま流されてしまった。
落ち着いて考えれば、反省しきりだ。
あたしが違うからと言って、相手にその枠を押し付けてはならない、親友の言だけど。
ただ、その親友も今回の処遇に意見も反論も出していないので、あたしの知らない何かがあるのかもしれないとは思う。
「いいの?聞いたんでしょ?私の趣味。」
その言葉に頷き返す。
「はい、でもそれはあたしが意見することじゃないですから。」
「…私、貴女がとても気に入っているのだけど?」
試すような台詞。でも、迷いはない。
「はい、気持ちは嬉しいです。ありがとうございます。だけど…。」
「貴女には好きな人がいるから、私の想いには応えられない?」
あたしの台詞を奪うように、透子は言った。
その台詞にあたしの熱が一気に上がる。
「ははははははぃぃぃぃい?」
くすくすと手で口許を抑え、彼女は上品に笑った。
「そんなの初めて会った時からバレバレよ?だからこそ可愛いと思ったのだけど。」
「えっと、その、じゃぁ…。」
「勿論、貴女が誰を好きなのかも分かっていてよ?」
その言葉を聞いた瞬間、この場に居続けるのはヤバい、と思って透子の腕を引いた。
「場所替え!しましょう!!!」
「あら、もうすぐ省吾が来るんじゃないの?放っておいていいの?」
「いいです!お願いですから!!!」
ふふ、と口角を上げて彼女は指を一本あたしの顔の前に突き出した。
「じゃあ、1個貸しね?」
騙された、と心底思った。
学校からも駅からも程よく離れ、あたしが覗いたこともない喫茶店へと透子は入って行った。
大人な雰囲気が漂う中、彼女は物おじせず店員に声をかけ、珈琲とアイスミルクティーを注文しあたしに向き直った。
「嬉しいわ、美墨さんと早速デート出来るなんて。」
ほんのり頬を染めて彼女はいい放った。ほとんど脅迫だったくせに、と釈然としない気持ちになる。
「…なんであたしなのか分かりません。」
拳を握り締め、憮然とした面持ちで彼女に問うた。
「他に一杯可愛い子とかいてるじゃないですか、なんであたしなんですか?」
自分が決して可愛くないとは思わないが、この人に好かれる理由が分からなかった。
「まっすぐだから。」
「?」
「私が好きだって言うと、大概引くか拒否されるかよ。貴女みたいにちゃんと断ってくれるのは、かなり珍しいわ。」
そんなふうに言われたら、始めは蔑視していたことを伝えざるを得なくなる。
「最初はあたしも引いてましたけど…。」
「そう。でもこんなふうに言ってくれるでしょ?」
珈琲の入ったカップを傾けながら、彼女は嬉しそうに答えた。
「最初会ったとき、泉元君にきちんと誠実に対応しようとしてるのを見て気に入ったわ。一日一緒にいたら好きになってたわ。それじゃいけない?」
真っ直ぐあたしの方を見て、一言一言大事そうに告げる。この人の気持ちがしっかりと染み込む。こんな熱烈な告白は初めてで、赤面するのを抑えられなかった。
「貴女だったら、私に応えてくれるって確信したの。だってこんなにまっすぐなんだもん。貴女があの子を好きなのは知ってる。だって、あんな風に見てるのに分からないわけない。それで構わないわ。一度付き合ってみない?人生観変わるかもよ?」
今までにも女生徒に告白されたことはあった。
「お姉さま」と倒錯じみたことも言われたことがある。
だけど、この人の台詞はそれとは全く違っていた。
普通に、一人の人間として好意を抱いてくれているのが強く感じられた。
「それは、友達付き合いじゃダメなんですか?」
苦し紛れにそう言うと、鼻であしらわれた。
「私がそれで構わないのならよかったけど、生憎貴女を恋人にしたいの。だから、中途半端はダメよ?」
「………。」
口をつむぐしかない。あたしの甘い考え方は一刀両断にされてしまった。
それなら仕方ない。
「じゃあ、あたしは貴女とは…。」
はっきりと断りの言葉を出そうとしたが、その時タイミング悪く藤P先輩の声が聞こえた。
息せききって、店内のフロアを最短距離でこちらに向かってくる。
「あら、予想外に早かったわね。流石に貴女のこととなると鼻が利くのかしら。」
彼女はよくわからない言葉を呟きながら、伝票を取り、レジへと向かう。
「そうそう、美墨さん。貸しは今度のデートで返してもらうわね?また連絡するわ。」
藤P先輩とすれ違い様、薄く笑って肩を叩いた。それを無視して先輩はあたしへと駆け寄る。
「美墨さん、大丈夫だった?」
「え……はい…。大丈夫です。」
何が大丈夫なのかよくわからないが、あたしはとりあえずそう答えていた。
続く
えっと予想外に長くなっています。
3話完結くらいにするつもりだったんですが。
多分5話くらいになりそうかなぁ、これ…。
あまりにも原作無視した設定ですが、ご勘弁くださいませ。
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折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。