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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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今日一日を振り返ると、焦燥感が心を占める。
しばらく顔を合わせることがなかった美墨なぎさに会えたまではよかったのだが、まさか男と待ち合わせだとは思わず、その後はぶっきらぼうな態度しか取れなかった気がする。
しかも泉本という後輩はかなり愛想がよく、いい感じで、それがまたオレの不安を掻き立てた。



いつか貴方にこの気持ちを届けよう 3




透子と共に帰宅したのは8時を少しまわる頃。
母親が予想よりも遅い帰路になったオレ達を勘繰り、探りを入れてきた。
「省吾遅い!透子ちゃんに変なことしてないでしょうね?」
するわけないだろ、と思う。
かなり機嫌がななめを向いてるオレは、母の言葉に反応せず、ただいま、と小さく言葉を吐き出し自分の部屋へと戻った。背後から母と透子の会話が届く。
「なに?随分機嫌悪いわね。ホントにどうかしたの?」
「いえ、向こうで省吾のお友達に会って、一緒に廻ってただけです。」
「そうなの、どうしたのかしらね…。」
そんな女性陣を無視して自分の部屋に滑り込んだ。
服を着替える気にもなれず、そのままベッドに倒れ込む。目を閉じると観覧車の中での会話が思い起こされる。 あの後は終始無言。
気まずい沈黙が流れていた。
観覧車を降り透子、泉本と合流するとすでに閉園時間になっていた。
そのまま解散することになり、泉本は美墨なぎさを自宅まで送って行った。
今頃はあちらも自宅についている頃だろう。
本当はなぎさとあいつを二人きりにしたくなかった。
けど、本人に見送りを断られたのだから仕方がない。
オレは深く溜め息をついて、体を俯せにした。
シャワーくらいは浴びなきゃと思うが、どうにも体が重くて動かない。
そこへ控え目なノックと透子の入るわよ、という声が響いた。
「勝手に入るなよ…。」
体起こすのも億劫で、腕で顔を隠しながらオレは言った。
「ノックはしたわよ?」
相変わらず強引なやつ、と思う。
「観覧車の中で何かあったの?」
その質問には無言を通す。
「あんたひょっとして自分の気持ち分かってなかったの?」
あんな顔してたくせに、と透子は言う。
どんな顔してたんだオレ…。
「急に自覚して、しかも美墨さんは男連れ。ショック受けて無愛想な態度しか取れなくて、落ち込んでるってトコ?」
「悪かったな!」
ほぼ言い当てられて、思わずオレは怒鳴り返した。
もう黙って放っておいてほしいと切に思う。
透子は馬鹿じゃない?とオレを見下ろした。
「ま、いいわ。あんたがそんなだったら泉本くんがライバルみたいだけど、あの子なら勝てると思うし。」
透子は意味不明な台詞を続ける。
不安気に見ているオレに気づいたのか、にやりと笑う。
「わたしの趣味忘れたの?」
…不覚にも忘れていた。
「あんたがそんななら遠慮する必要ないでしょ?」
じゃあね、と手を振って出ていく透子をオレは顔面蒼白になって見送った。


次の日オレはいつもより30分程早い電車に乗った。
今日は待ち伏せしてでも美墨なぎさを捕まえるつもりだ。
若葉台の駅で降り、改札をくぐり抜けて改札付近の壁に背を預けた。
昨日ほのかに電話して、今日はラクロス部の朝練がないのは確認済み。
オレにも朝練がなかったのは幸運だった。
泉本と登校してくる可能性も考えていたが、その時はその時だ、と思う。
……来た!
なぎさの色素の薄い髪と、ラクロスのクロスが目に入った。その瞬間オレは体を起こし、なぎさへと足を向けた。 彼女はまっすぐ信号の方を向き、立ち止まる。
どこか惚け惚けしている風で、信号が青に変わり足を前に運んだが、なにかに蹴躓いたのか、バランスを崩して倒れ込んだ。
「危ない!」
慌てて駆け寄り、腕をとって体を引き寄せる。
なんとか転倒は防げたようだ。
「大丈夫?美墨さん。」
「あ…ありがとうございます。だいじょーぶです。」
驚いたためか顔を真っ赤に火照らせ、オレを仰ぎ見た。
こぼれ落ちたクロスと荷物を拾い、オレは先を促す。
「信号変わるよ、行こう?」
「は…はい…。」
横断歩道を渡りきると軽口もたたけなくなり、しばらく二人で黙って歩いた。
少し早い時間のためか、周囲の人気は少ない。
「そういえば、なんでこんなに早いの?」
ふとした疑問が口をついて出た。その問いなぎさは肩を震わせる。
「えーっと、その、なんかそんな気分で!」
「でも、最近ずっとそうだって、ほのかに聞いたけど?」
「最近なんでか早起きなんです!」
ふうん、とオレは首を傾げた。
挙動不審にもほどがある。
なぎさはずっとオレの顔を見ない。
また、暗鬱な思考が首をもたげた。
「泉本と待ち合わせでもしてるの?」
「ち…違います!!!」
この時になってようやく彼女は顔をあげた。
戸惑いの色を漂わせ、火照ってままの面をこちらに向ける。その表情はとて引き寄せられるもので。
そんなのを見せられたら困る。
場所も彼女の気持ちも考えずに襲ってしまいそうだ。
いくらなんでも非道い思考に、オレは謝罪の言葉を口にした。
「ごめん…考えなしの言葉だった。」
不意になぎさを待伏せた理由を思い出し、彼女にそれを告げようと口を開いた。
「オレ、美墨さんに言わなきゃいけないことがあったんだ。」
なぎさはそれを聞いて小首を傾げた。
柔らかい、さらさらした髪が、太陽光に透けて光る。
「透子のことなんだけど、あいつ、美墨さんのこと気に入ったみたいで、多分、近いうちに誘いにくると思う。」
「へ?誘うってショッピングか何かですか?」
普通はそうだろう。しかし、あいつは違う。
「いや…ちょっと又従姉妹の性癖をとやかく言うのも何だけど……透子はさ、女の子が好きなんだ。」
「又従姉妹?ってことは…って、女の子好き…って…、透子さん女の子ですよね?てことは…………へ?え!?…えええ~?!!」
一度に与えた情報が多かったのか、思いもしなかった展開のためか、なぎさは混乱したようだ。目を見開いて、視線をあちらこちらに漂わせている。
まぁ、だからオレも透子のことは誰にも言う気なかったんだけど。
「だから、透子に誘われたら誰かと一緒に行った方がいい。ほのかでもいいし。なんならオレでもいいし。」
二人きりは避けた方がいい、と匂わせる。
うちの家族ですら知らないことだが、透子はかなり油断ならない。
昨日、なぎさを引っ張り回している時点で気づくべきだったと思うが、そんなのは後の祭だ。
「とにかく、登下校もできれば一人じゃない方がいいんだけど、誰かと一緒にいれる?」
少し考えこんで、なぎさはふるふると頭を振る。
「登校は、ほのかと合わせればいいんですけど、下校までは…。」
部活で時間が予測しにくく合わせにくいらしい。一人のことも多いようだ。
「でも、別にそんなに警戒しなくてもいいんじゃないですか?透子さん、そんな酷い人には見えませんでしたけど?」
そうだったらよかったんだが、上手いこと口車に乗せて自分の思い通りにするくらいには強引で機転も効く。
オレは一拍思案して、こう提案した。
「分かった。じゃあ下校は一緒にしよう。多分、同じくらいの時間帯の時多いはずだし。」
何にしろ、透子がうちにいてる間だけの話だ。
おそらく1ヶ月程度。あちらも学校があるし、登下校さえなんとかすれば大丈夫なはず。
話について来れていないなぎさに向かって、「じゃあ、1ヶ月くらいだと思うけど、よろしく。」と宣言した。
これはある意味役得だと気づいたのは、完全に混乱したなぎさを女子部の校舎に送り届けた後だった。






続きます。
思った以上に長くなってます。
終わるんかな、これ。


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HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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