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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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携帯更新仮置きです。
文字数と見返しがしにくいので、更新する際にはちょっと変わるかも?






苦し…胸も、頭も、何もかも。
頭の中に響くのは先輩の声。
『とうこ。』
発しているのは知らない女性の名前。
とにかくこの想いを消したくて、あたしは先日の男子部の生徒に連絡をとった。
早く忘れてしまいたかった。



いつか貴方にこの気持ちを届けよう 2




あの日以来、あたしは普通に日々を送っていた。
藤P先輩の噂は相変わらず流れてる。
部活を休んでデートするくらいだ。そりゃあ噂になるだろう。
とにかく現場を見てしまったからには意識を切り替えなくちゃ!と思ってはいるけど、なかなか上手い具合にはいかない。
3年目の片想いは伊達じゃなかったらしい。
気を抜けば、ついつい藤P先輩のことを考えてしまう。できるだけ、ラクロスや交遊関係に集中して忘れようと努めていた。
その間にこの前の彼との約束のお試しデートの日は迫っていた。
デートなんてまだ短い生涯の中で2回目だからどういう風にすればいいか分からない。
けど、こんな気持ちのまま交際なんてできないから、とにかくお断りしよう、とだけは決めている。
自分勝手で悪いけど、1日だけ、先輩から頭を完全に切り離したかった。
ほのかは時々心配そうに様子を伺ってくれる。
でも、あれ以来一度も先輩のことは口にださなかった。

天気のよい日、あたしたちは屋上に出て休憩時間を過ごしていた。
ミップルとメップルがいるため休憩時間は人気のないところにいくことが多いが、特に屋上は気持ちがいいため来ることが多い。
「ほのか。」
「なあに?」
ほのかはいつものように柔らかく微笑む。
「あのさ、今度の日曜日、こないだの人と遊びに行ってくる。」
彼女は綺麗な眉をひそめた。
彼女が何か口に出す前に、畳み掛けるように言葉を吐き出す。
「だって、ちゃんと断らなきゃいけないし、約束したし、それに…色々リセットしてしまいたいし。」
あたしの沈んだ気持ちを汲み取ってくれたのだろう。
仕方ない、というふうにほのかはため息をついた。
「そうね…藤村くんにちゃんと聞いてからにした方がいいと思うけど…。お断りするつもりなら、それでいいんじゃない?」
あたしの頭に?が飛ぶ。
なんで藤P先輩に聞いてから、彼に会った方がいいのだろう?
どちらでも結果は変わらないではないか。
「なぎさはまっすぐだから考えもしないかもしれないけど、気持ちが弱くなってる時にごり押しするのは常套手段だから。」
「…?」
ますます分からないあたしに、ほのかはいいの、と手を振った。
「気にしないで。気をつけて行ってらっしゃい。」
「うん…。」
とにかくほのかに報告することができたあたしは、ほっと息をついた。

日曜日は快晴だった。
明日からは雨になるらしいが、今日はそんなことを微塵も感じさせない。
待ち合わせた遊園地のゲート前で、あたしは所在なさ気にキョロキョロしてしまう。
ここに来たのは中等部以来。
藤P先輩と木俣さんとほのかとあたしの四人でクリスマスイブに来た。
あの時は、こんなことになるなんて思わなかった。
先輩とスケート滑って楽しいだけの一日だったのに。
しんみりとしていると、後ろから肩を叩かれた。
ついに来ちゃったか…来なくてもよかったのに、と酷いことを考えながら振り返ると、そこにいたのは予想もしない人物だった。
「…藤Pせんぱいぃぃぃ?!!!」
「…おはよう。」
あたしの大声が響いたのか、先輩は耳を押さえる。
こんなところでこのタイミングに出会ったことに不吉な予感がした。
「なんで先輩こんなところで…。」
「あぁ、透子がなんか来たいって言い出して。でも美墨さんも来てたんだ、奇遇だね。」
ってことは、あの人もここにくるってことで、何より彼もここに来るってことは鉢合わせするかもしれないってことで。
(うっそぉ、マジで?ありえない…。)
とにかく、なんとかこの場から離れたい。
この場から離れたら、園内は広いし人が多い。きっと出会うこともそうそうないはず。
意を決してあたしは藤P先輩に語りかけた。
「あの!先輩、あたし忘れ物を…。」
あたしの声に被さるように、後方からあたしを呼ぶ声が聞こえた。
「美墨さん!お待たせ!!!」
げっ…。
まだ待ち合わせ時間には少し早い。
勝手を言って悪いけど、今日だけは遅刻してきて欲しかった…!!!
あたしの心の声は届かず、彼、ことベローネ学園高等部の泉本勝海があたしの名前を連呼しながら手を大きく振っていた。


今日は絶対厄日だ。
もう間違いなく確実に!
おまけに運勢も占いも最悪に違いない。
なぜなら、あたしは4人組になって歩いていた。
あたしと、泉本くんと、藤P先輩と、透子さん。
なんでこうなったんだろう。
あたしは藤P先輩を忘れるため、ついでに交際のお断りをするためここまで来たはずだ。
なのに、なんでここに件の先輩が彼女と一緒にいるんだ。
しかも透子さんはざっくばらんな気質らしく『省吾のお友達?じゃあ一緒に廻りましょう。大勢の方が楽しいじゃない。』ときた。
おまけに泉本くんも『そうですよね、俺、藤村先輩とも話してみたかったしご一緒しましょう。』ときた。
藤P先輩が何か言うかと思ったら『美墨さんがいいなら一緒に廻ろう?』と宣う。
なぜそうなる、と突っ込みたい。
反対などとてもできず、4人仲良くアトラクションの列に加わった。
透子さんはかなりのアトラクション好きらしく、本当に嬉しそうに園内を廻る。
「ねぇねぇ美墨さん、私コーヒーカップに乗りたいわ。一緒に行きましょう?」
「は…はぁ…。」
先刻からこの調子。
しかもなぜかあたしばかりを誘う。
先輩も泉本くんも何も言わずにそれぞれ和やかに談笑しながらついて来てる。これは何の集まりなのか。頭痛がしてくる。
それでもできるだけ笑みを浮かべ透子の誘うアトラクションへとついて行った。
そんなことをしていると時間はどんどん過ぎていき、もうすでに太陽は西に傾いていた。
時刻は3時を回ったところ。
結局開園から今までずっと4人で過ごしていた。
(もう、今日は諦めよう…。)
ふう、と溜め息をつく。
「あら、観覧車!」
透子さんの歓声にあたしは顔をあげた。
あれは、以前藤P先輩と乗った観覧車。
それを見た瞬間、心臓がキリッと痛んだ。
「ねぇねぇ美墨さん、観覧車乗りましょう?でも、今度はじゃんけんでグループを決めましょうか。私が美墨さんを独占しちゃってるものね。」
え…と反論しかけたが、慌てて言葉を飲み込んだ。
藤P先輩と乗った想い出がある観覧車には、他の人と乗りたくはなかった。
だけど、もうどうしようもない。
ままよ、とじゃんけんをする。
私と藤P先輩が勝ち、泉本くんと透子さんが負け。
「あら、じゃあ勝ち組と負け組で別れましょうか。」
「えぇ?透子さん、俺だって美墨さんと乗りたかったですよ。」
ふふ…と透子は意味深に微笑んだ。
「ごめんなさい、勝負は非情なものよ。今回は私で我慢してね?」
そう言って、透子は泉本の手を引いて観覧車に乗り込んだ。
「じゃあ、オレ達も行こうか?」
藤P先輩はいつものように柔らかく微笑んだ。

観覧車の中で二人きりになると、どちらも口をつぐんだ。
しんとした空気が流れる。
先輩は外の風景を眺め、あたしはそんな先輩を眺めていた。
(彼女が他の男と観覧車に乗ってるんだもんね。心配だよね…。)
取り留めのないことを考えてしまう。
先輩に気づかれないように、細く、息を吐き出した。
「ねぇ、美墨さん…。」
小さいけれど、何故か鳩尾まで響く呼びかけに、あたしは肩をぶるっと震えさせた。
「あいつって…美墨さんの何?」
あいつって…。意表をつく質問に、あたしは確認する。
「泉本くんのことですか?」
先輩はこくんと頷いた。窓の外に視線を向けたまま。
先輩は話をする時、必ず相手と視線を合わせる。それが今はあたしを全く見ようとしない。
そういえば、泉本くんに声をかけられてから、ずっとこんな感じだったような?
疑問に思いながらも質問に答えた。
「えっと…あたしのこと好きだって言ってくれた人です。」
正直に答える。ごまかしようがなかったのもあるが、まさかそんな質問がくるとは思わなかったので、口が勝手に答えてしまった。
その一言で剣呑な雰囲気が漂う。
な…に…?
「付き合うの?」
あまりにも鋭い物言いと、肌に刺す冷たい空気があたしの口をつぼませた。
「…先輩には関係ありません。」
一呼吸置いてあたしがそう答えると、先輩はあたしを振り返った。
眉をひそめ、傷ついた表情をしている。
「関係ない、か。確かにね。」
そうしてまた、窓の外を眺める。
理由はわからないけど、あたしは胸が痛んだ。
そうして聞くつもりのなかった一言を呟く。
「先輩こそ透子さんとどういう関係なんですか?」
台詞を吐き出し、あたしは口元を右手で抑える。
(しまった、思わず…!!!)
動揺するあたしを驚いたように見つめ、先輩は口を開いた。
「…気になる?」
(……?)
先輩の表情が微かに歪んだ。
目を細めてあたしを見つめる。それはひどく切な気で。
何も言えなくなったあたしはただ、先輩を見つめ返した。

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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