長いの書くのに疲れました。
３月といえばホワイトデーですよね！！


君に感謝を込めて

暖かい日と寒い日が交互に訪れるようになり、段々気温が上がってきた。
そうは言ってもまだまだコートが手放せず、マフラーと手袋のどちらかを外して調整するようにしている。
部活帰りともなると、吐く息は白い。
ふと道端を見ると、泡吹の木がが白い花びらを覗かせている。
(もうすぐ春かぁ。)
あたしはにんまりと口角を上げた。
春はいいことが多い。
進級し、新しいクラスになる。
暖かくなると部活が気持ちよくできる。
美味しいものも出てくる。
特に新製品がいい。
(美味しいものはやっぱり秋かな。でも春も捨て難いし。)
にまにまと緩んだ顔をしながら足取りも軽く進んでいく。
それに今年の春は先輩と過ごす初めての春、だ。
「楽しそうだね。」
背後から声をかけられた。
聞いた瞬間に心臓が跳ね上がる。
耳に留まる優しいトーン。
「藤P先輩。」
振り返ると予想通りの人がそこにいた。
大きなスポーツバッグを肩にかけ、ジャージ姿のままだ。
「ちょっとあったかくなってきたな、と思って。もうすぐ春ですよね～。」
「そうだね。」
よいしょとバッグを担ぎ直し、先輩はあたしと肩を並べた。
先輩とこうやって歩くのにも慣れつつある。
それでも心臓のドキドキは治まらない。
「今日も部活ですか？」
「うん、美墨さんも？」
「はい。」
言葉少なに足を進める。
たいしたことではないけど、この時間がとても愛しい。
「ところで美墨さん。」
「はい？」
「そろそろ丁寧語、卒業しない？オレ達付き合ってるんだしさ。」
さりげなく切り出した先輩の言葉が脳内に突き刺さった。
オレ達付き合ってるんだしさ、と頭の中でこだまする。
「え…えええええっと、そうですね！」
お付き合いしだして早数ヶ月。
でもまだまだ慣れない。
デートなんかした日は家に帰ってからも浮かれまくり。
手を繋いだり、抱きしめられたりした日なんか、熱出しておかしな言動になる始末。
顔をあわせてるだけで、頭に血が上る頃よりはマシになったと思うけど。
でもタメ口きいて、カップルらしくって無理。
あたしの百面相を覗き見て、先輩は悟ったらしい。
「なぎさ。」
呼び捨てにされて、その親密感にあたしは固まってしまった。
「今日何日か覚えてる？」
「…１４日…。」
タメ口を意識したせいか、ずいぶんぶっきらぼうな態度になってしまった。
気にもせず、先輩はあたしの前に回り込んだ。
「そう。だから、バレンタインの返事、しなきゃね？」
にやりと笑ってあたしの背に腕を廻す。
自然とあたしは先輩の体に押し付けられてしまった。
(先輩ってば先輩ってば！！！)
人通りが少ないとは言え、まだ部活をしている部もあり、どこに視線があるか分からないのに、先輩は恥ずかしげもなくあたしを抱きしめる。
「なぎさ、好きだ。」
耳元に囁かれた告白は、あたしを腰砕けにさせるのには十分で。
「できれば今すぐ食べてしまいたいくらい。」
(食べるって、それって、そういう意味！？)
あたしの動揺を感じとってか、先輩はあたしと目を合わせる。
悪戯っ子がちょっとした悪戯を成功させた時のように、満足気に微笑む。
その表情はとても幼く、可愛らしい。
それに見とれてあたしは声もでない。
「なぎさ、今すぐは無理だろうし、できるだけ我慢するから、いつか…いい？」
「………。」
あまりに恥ずかしくて言葉が出てこない。
どうしよう、このままだと拒否してるって思われる？でも、やっぱり口にはだせない。
「なぎさ、恥ずかしかったら頷くだけでいいから。いつか…オレのものになってくれる？」
「……………。」
小さくコクンと頷いた。
顔から火が出そう。
ますます強く抱きしめられ、先輩はあたしに感謝の言葉を囁いた。


fin.


独占欲のかたまり藤村でした。
近所の桜の植木が花開いてて、うわぁ春だなぁと感じました。
でも、一昨日くらいから寒い！
もうすぐ映画なのに、あったかくなってほしい(>_<)

[9回]