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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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いつもの駅を降りると目の前に日に焼けた色素の薄い髪がちらっと見える。
その先には見慣れた黒髪の少女。

ほのか…と美墨さん。

 二人の少女は笑いながら学校への道を歩いていく。
その姿を目で追いながら最近気がついた鼓動の早さを再確認した。

Love Love Love


高校に入り、しばらくすると周りのクラスメイトに彼女ができ始め、今や彼女なしは5割をきっていた。
もちろんオレ、藤村省吾も彼女なしの一人。
気になる女の子…はいないでもないが、ただ、まだまだサッカーに夢中で、それ以外のことは考えられなかった。
それが少々変わってきている。
原因は、今年から高等部に進学してきた雪城ほのかの親友、美墨なぎさだ。
中等部の頃から有名な二人だったが、近頃は以前とはまた違う風評がたっている。
ほのかは以前から男子の人気があり、ラブレターをもらったり、告白されたり、と忙しそうだったが、最近それに美墨なぎさも加わったらしい。
曰く、『ラクロスをしている姿がかっこいい。』『それに少々おっちょこちょいで愛嬌がある。』『高等部に上がり女の子らしくなり、かわいくなった。』などなど。
実際かわいくなっていると思う。
以前はどこか少年のような中性的な雰囲気があったが、ずいぶん『女性』になっている。
どこが、というわけではないけど。
オレと話している時の少し赤い顔ではにかんでいる様子など絶品で。
あの顔を見てると、つい、抱きしめたくなってしまう。
(…やっぱ、オレ…そうなのかなぁ。)
以前から彼女のことは気になっていたし、一緒にいると楽しいし、素敵な女の子だな、とは思っていたが、先日彼女に対する認識を新たにした。
数日前にある場面を見てしまったのだ。
彼女が男子生徒に告白され、オコトワリをしている現場を。
それから、なんだかモヤモヤとした感情が渦巻き、ようやくオレは自覚をした。
(オレはたぶん、『美墨なぎさ』が好き、なんだ。)と。
オレは恋愛話が苦手だ。
自分の気持ちが分かったとは言っても、それから先には踏み出せなかった。
ただ、周囲がずいぶん『彼女持ち』にこだわり始めたことと、告白現場を見てしまったことで、ぐずぐずしていたら、彼女を誰かに持っていかれるかもしれない、と焦り始めてはいる。
(けど、どうかしようにもなぁ…。)
自慢じゃないが、告白されたことなら何回かある。
でも、自分から告白したことは『0』なのだ。
それに…今の関係が壊れてしまうことも怖い。
「どうしたもんかなぁ。」
「なにが?」
つい、考えていたことが口をついて出てきた。
それに木俣がつっこんできた。
「なんでもない。」
オレは適当にごまかしながら思考をシャットダウンした。

「藤村!ぼさっとするな、まわせまわせ!」
「はいっ!すいません!!」
放課後の部活動の時間まで悶々と考えていたせいか、体のキレが悪い。
先輩に叱咤されながら、オレは必死で走った。
サッカーをしている時は忘れられると思ったけど大間違いだった。
部室に移る途中で、たまたまラクロスのユニフォームを着た美墨なぎさを見かけたのだ。
とは言っても向こうは気がついていないだろう。
慌てた様子で、バックを抱え小走りでかけて行った。
その姿を見て、オレはふと考えた。
彼女がオレを振り返らない、ということに耐えられるだろうか?と。
淡い恋心を満足させるために告白して、断られた時に今の状態を維持することは難しい。
それならいっそ、告白しないで今の暖かい関係を維持した方が得策ではないか。
そんな後ろ向きな思考が体の動きを縛る。
結局、今日一日まともなサッカーはできず、先輩方の怒鳴り声をいただいた上、後片付けの指令を受けてしまった。
(なにやってんだ、オレ…。)
溜息ばかりが出てくる。
片付けも全く進まない。
「…先輩?」
今一番聴きたかった声がすぐ傍から聞こえてきた。
幻聴かとも思ったが、フェンスのすぐ向こう側に今日一日頭から離れなかった人物がいた。
「美墨さん…。」
「後片付け、ですか?大変そうですね。」
制服に着替え、ラクロスのラケットを小脇にかかえ、はにかんだ笑顔を浮かべていた。
「美墨さん、今から帰り?」
「そうなんです、ちょっと今日は先輩にこってりしぼられちゃって。いつもより遅くなっちゃいました。」
「奇遇だね、オレもだよ。」
「え…そうなんですか?」
珍しいですね、と彼女は頭をかいて笑った。
「よかったら手伝いましょうか?」
「いや、いいよ。疲れてるだろうし。」
平気ですよ~、と笑いながら、グラウンドの入り口をまわってきた。
以前は話しをしたり、二人になったりすると、微妙な緊張感が伝わってきたが、ようやく慣れたのか最近ではそういう感じがすることはない。
時々相談事にのったりもするし、先輩として好意は持たれていると思う。
けど、異性としては…?
「グラウンド整備って大変だけど、キレイになると嬉しいし、次にグラウンド使う時に気持ちいいから結構好きなんですよね♪」
鼻歌まじりに彼女はローラーを引いていく。
これだけ近距離になると、オレの方が意識をしてしまった。
頭ひとつ分低い視線。
上から見るとまつげが長いのがよく分かる。
その下に見えるうっすらピンクに色づいた唇…。
(やばい、変な妄想してる場合じゃないだろ。)
「…ぱい…せんぱい?」
「あっ…ごめん、何か言った?」
「整備終わりましたよ?お疲れですか、なんかぼーっとしてますね。」
ホント珍しい。そう言ってなぎさは笑った。
「さ、そろそろ帰ろうか。もう遅いし送るよ。」
オレは誤魔化すように、ひざの砂を叩き落としながらそう言った。
「え?いいですよ~。駅からそんなに離れてないし。」
「女の子一人でこんな時間帰らせるわけにいかないだろ。いいから、送るよ。ただ、ちょっと着替えてくるから待っててくれるかな?」
「ありがとうございます。じゃ、校門前で待ってますね。」
「悪いね。」
じゃ、後で、と声をかけて部室に駆け戻った。
急いで制服に袖を通し、汚れたユニフォームとスウェットをかばんにつっこむ。
部室に鍵をかけ、校門まで走っていった。
ところが、そこには先客がいた。
(あいつ確か、こないだオコトワリされてたヤツ…?)
どうも男子部の校門前で待ち合わせしたことで、いらぬ誤解を抱かせたようだ。
なぎさに詰め寄り、何か問い詰めようとしている。
当のなぎさは迷惑そうな顔を隠さず、できるだけ無視してやりすごそうとしているようだ。
「ごめん美墨さん、お待たせ。」
オレは二人の間に割り込み、なぎさの腕をとった。
ほっとした顔でなぎさはオレを振り返る。
「ちょっと待てよ、藤村。お前美墨さんのなんなんだよ?」
相手はオレの名前を知ってるらしい。
「友人だよ。」
おともだち、かよ。と不服そうに吐き捨てた。
なんとなくカンに触るやつだ。
こんなやつに彼女を渡したくはない。
「中等部の頃からの付き合いだよ。じゃあな。」
相手に口をはさませず、なぎさの手を引いて行った。
「待たせて悪かったね。」
「い…いえ!!!」
俯き加減で、おまけに上ずった声でなぎさは答えた。
視線の先を追うと、オレと手をつないでいる箇所で…。
「あ…ご、ごめん。」
慌てて手を離すと彼女は複雑そうな表情を浮かべた。
(ちょっと…残念そう…?んなわけないか。)
「さっきのやつ知り合い?」
オレはつい、そんなことを聞いてしまった。
しまった、と思ったのはなぎさの困ったような、照れてるような、まぜこぜになった顔を見た時。
「えーっと知り合いっていうか…。ちょっと…顔見知り…かなぁ…。」
ははは、と乾いた笑いを浮かべる。
「ごめん、余計なこと聞いたね。」
「いえ…。別にぃぃぃ!!!」
「あぶない!」
なぎさは前を向いて歩いていなかったのか、目の前の電柱をかわしきれず、モロにぶつかりそうになった。
オレは慌ててなぎさの手をひき、体を引き寄せた。
「大丈夫?美墨さん。」
ほっと一息つき、彼女の顔を覗き込む。
「だだだだいじょーぶです!!すいません、お世話かけました!!!」
オレの胸を押し、体を押しのけようとするので、ついイジワル根性が出てしまった。
腕を彼女の背中に廻し、耳元でささやく。
「そう、よかった。」
なぎさはびくん、と体を震わせ、そのまま硬直してしまった。
役得気分もあって、彼女に気づかれないように髪に唇を寄せ、軽く口付ける。
その時、なぎさは何か呟いた。
「え?美墨さん…?」
今のは聞き間違い?
確かめようとしたが、彼女は顔を伏せたままオレの腕をすり抜け、通学路を走っていった。
なんとなく泣きそうな顔をしていた気がする。
それに、あの言葉。
聞き間違いかもしれない、オレの妄想かもしれない。
けど、このまま彼女を放ってはおけなかった。

(多分、こっちの方だと思ったんだけど…。)
足を止めて周囲を見回すが、先程までなんとか追いかけていた彼女の背中が全く見えなくなっていた。
(美墨さん、足はえぇ。)
肩を上下させ、息を整える。
(そういえばこっちの方って、川があったよな…。)
予感めいたものもあり、足を川岸へと向けた。
(いた…。)
そこには、膝を抱え込んで俯いたままぴくりともしない美墨なぎさがいた。
オレは足音を立てないように、彼女の背中に近づいた。
「もう…ありえない。」
なにやらぶつぶつ独り言を言っている。
いつもの元気は全くなく、意気消沈しているようだ。
その様子を見ているのがいたたまれなくなり、オレは両腕で彼女を覆い隠した。
「つかまえた。」
そして一言。
「オレ、美墨さんのこと好きだよ。」
大切な言葉を伝える。
「うそ…。」
「ほんとだよ。…だから、さっきの嬉しかった。」
先程なぎさが呟いた言葉。
あまりに微かだから全部は聞き取れなかったけど、ただ、「好き」という言葉だけは耳に届いた。
聞き間違いかと思ったけれど、なぎさが顔を伏せて逃げ出したことで逆に確信が持てた。
「美墨さんに先に言われるなんてカッコ悪いけどね。」
「そんなことないです!藤P先輩は…っ!」
「オレは?」
なぎさは上半身をねじってオレに振り返り何事か言い募ろうとしたが、髪が触れあいそうな程の近さに気づいたのか、頬を紅潮させ、そのままの姿勢で停止してしまった。
口がぱくぱくと動いているが、言葉にはなっていない。
その様子がおかしくて、オレは思わず草むらに突っ伏して大爆笑してしまった。
「せ……せんぱい!!!」
オレの反応に彼女は肩を怒らせる。
(かわいい…っ、かわいすぎる。)
本当になんて女の子だろう。
スポーツ万能で。勉強は苦手みたいだけど。よく笑って。よく落ち込んで。表情がくるくる変わって。食べ物を食べてる時はすっごく幸せそうで。ほのかといる時も楽しそうで。どんなことにもチャレンジして。
そして、オレといる時はいつも緊張して、でも自分を偽ることなく、素のままで接してくれて。
彼女がいることで毎日がどれほど新鮮に感じられたか。
あぁ、本当に。
「きみが好きだよ。」
頭の先から手足まで真っ赤に火照らせ、またもなぎさは固まってしまった。
今日のところはこんなもんかな。
これ以上近づいて卒倒でもされたら困るし。
ただ、もう少し温もりが欲しくて、オレはもう一度彼女を抱きしめた。

余談。

ひとつ、心配がある。
オレはこれから彼女と「お付き合い」ができるのだろうか。
今日、抱きしめた後、彼女はのびてしまった。
なかなか気がつかなかったので、背負って彼女の家まで送っていった。
気がついたのは最寄り駅を降りたところで。
彼女は正気に戻った途端、また顔を熟れたトマトみたいに真っ赤にさせ、お礼と謝罪を述べて走り去ってしまった。
その姿は微笑ましいものであって、決して不快なものではなかったのだけど。
明日もあの状態だったら、これ以上近づくことはできるだろうか。
(欲求不満に陥りそうかもなぁ。)
けれど、それも仕方がないか。
とりあえず、一歩前進はできたわけだし。
これから少しづつ慣らしていくことにしよう。
(明日っから覚悟しといてよ、美墨さん。)
タイミングよく現れた流れ星にオレはそう誓った。

 

副題:あまあま藤P。
どう考えても恋は盲目状態の藤P。
背後からなぎさを抱きしめて「つかまえた。」と言わせたいがために書いただけ。
妄想大爆発状態です。


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HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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