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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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昨日は3月にも関わらず、気温が18度という春爛漫と言うべき一日だったはずだ。
しかし、一夜明けた今日はというと、いきなり気温9度。はっきり言って寒い。一度暖かい気候を味わうと、平年並みの気温が以上に寒く感じる。
しかも明け方はまだ温く感じた空気が、日が落ちると一気に冷え込む。
あたし、美墨なぎさは両手を擦り合わせながら必死で息を吹き掛け寒さを凌いだ。
(寒い、寒すぎる…!)
部活で走り回っている最中は気がつかなかった。一息つき、汗が引くと寒さは頂点に達する。こんな日に限ってマフラーと手袋は自宅に置いてきた。こんなことなら母が忘れ物に気付き声をかけてくれた時に、遅刻覚悟で戻るべきだった、と思うがもう遅い。とにかく一刻も早く暖かい我が家に帰るべく、必死で足を動かした。
「美墨さん!」
そんな状況で聴こえてきた声に、心臓が思い切り跳ねた。後ろを振り返り、飛び込んできたのは想像通りの人。
「藤P先輩…。」
「やあ。」
相変わらず素敵なテノールが耳を打つ。先刻まで寒さで震えていた身体は別の意味で震え出した。


ホワイトデーの贈り物




「ごめん、急いでるみたいだね。呼び止めて悪いね。」
「いえ!用事なんてちぃっともなくて、寒いから早く帰ろうって思ってただけでして!」
何故呼び止められたかは分からないが、こんないいことを寒さくらいで逃してはもったいない。あたしはぶるぶると頭を振って、大丈夫ですよ、とアピールする。
よかった、と彼が綺麗に微笑んだ。
その表情にまた心臓が大きく跳ねる。男の人がこんなに魅力的だなんて詐欺だと思う。目が離せない。
「美墨さん、これから暇?」
「はい、これからって言うかいつも暇って言うか、もういつでもどこでも暇三昧です!」
緊張して何を口走っているのか分からない。とにかく隣り合って帰宅できる幸運に舞い上がっていた。
「そう、じゃあちょっと付き合ってくれる?」
「はい、付き合うでもなんでも…って……はい?」
あたしのキョトンとした顔に彼はニッコリと笑って繰り返した。
「うん、だから今から一緒に行ってほしいところがあるんだ。」
青天の霹靂とはこのことだった。

本当に夢じゃなかろうか。
あたしの首にはいつかも借りた藤P先輩のマフラー、手には手袋が嵌められている。
寒いと言っていたあたしを気遣って先輩が貸してくれたもの。
先輩の香りに包まれて、先輩と横並びに歩く図は、想像以上に刺激的だった。心臓が50メートル走でもしているかのように激しく鼓動を打つ。
それに、何処に連れて行ってくれるのかも聞かずに並んで歩くのは、デートみたいで嬉しかった。
「あ、ここだよ。」
ちょっとあたしみたいな女子高生には入りづらいシックなカフェ。藤P先輩は躊躇せずにその店のノブを押した。
淡い色の間接照明が店内を仄かに燈している。
店の奥には大きな古時計が掛けられていて、どのくらいの時代のものなのか検討もつかない。
先輩はそのまま奥のテーブル席まで進み、二人掛けの座席に荷物を置いた。
「美墨さん、こっち。」
あたしは少し身体を小さくしながら先輩に促されて席に腰を下ろす。
何故こんなところに連れてこられたのか分からない。先輩の向かいに座りながら、あたしは戸惑いを隠せなかった。
「ごめんね、いきなり引っ張ってきて。」
「い…いえ…。」
「美墨さんと一緒に飲みたいものがあってさ。」
「飲みたいもの…ですか?」
「うん。」
いつの間に注文していたのか、甘い香りが漂ってきたかと思うと、眼前に綺麗なティーカップが置かれた。
白い湯気が立ち上る。豊かな芳香が鼻腔を擽る。現実感のない風景が、あたしを夢に誘ったかのよう。
香りに誘われ、あたしは手をティーカップに延ばした。
口に含むとチョコレートのような甘みが口の中を満たした。
「おいし…!」
爽やかなオレンジの後味が、甘みを深くせず、すっきりと味わせてくれる。
頬を緩ませ満足気に息を吐くと、にこにこ笑う先輩の顔が視界に飛び込んだ。
「バレンタインに美味しいチョコご馳走になったからさ。お返しに。どうかな?」
「え?これホワイトデーのプレゼントですか?」
「うん。」
頭が幸せで花咲きそうだ。
あんな、渡しきれなかった想いが意外なところで実を結んだ。一緒にチョコ食べただけなのに。
「ありがとうございます!すっごく美味しいです。」
嬉しくて嬉しくて、踊りだしそう。
お茶ご馳走になって、デートみたいなことして、と思ったところでふと気付いた。あたしでこれなのだから、きちんと渡した子はどんなお返しをしたのだろう?
「あのぉ…先輩、他の子達にはどんなお返しを…?」
「え?あぁ…手作りクッキー配ったよ。」
「へぇ手作りクッキー……って手作りぃ?」
「うん、オレけっこう料理好きでさ。昨日クッキー焼いた。けど木俣なんかには笑われたよ。『男の作ったもんが食いたいか?』って。」
ちょっと気落ちしたような先輩を見てると無性に励ましたくなってきた。
「そんなことないですよ!あたしは食べてみたいです!!先輩の気持ちがこもったクッキーでしょ?絶対みんな嬉しいですよ!!ていうか、あたしも欲しかったって言うか!」
「…ありがと。じゃぁ、今度作ってくるから食べてくれる?」
「………はい……。」
心底嬉しそうに微笑まれたら、あたしはもう何も言えなかった。本当に聞きたいことは別にある。
『先輩、本命の子いたんですか?』
けど、どうしても聞けなかった。
少なくともこうやってお茶に誘い出してくれる程度には好かれているのだから、それで満足しよう、と思う。
そっと嘆息する。
「先輩って罪作りな人ですよね。」
小さく小さく本音を吐き出す。
「え?何か言った?」
「いえ!なんでもありません。美味しいですよね、これ。」
「あぁ、ショコラティーって言うんだって。前に一回飲む機会があって、美墨さんを連想したからさ。一度一緒に飲みたいと思ってたんだ。」
たわいもない会話でごまかして、あたしは今のどろどろした気持ちを封印した。
折角夢みたいな時間なんだから今だけは。
ホワイトデー。
それは独りよがりな想いが終焉を迎える日。


fin.


頭がウイルスでやられてるせいか、いまいち何を書いてるかわかりませんね…。藤Pver.はまたいずれ…。
とにかく今日1本どうしてもあげたかったのです。

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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