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はじめまして。 こちらは県妙子(あがたたえこ)が運営する「ふたりはプリキュア」をメインとする、白泉社系やアニメなどの男女カップリング甘々系二次創作よろずサイトです。 個人のファンサイトですので、各版権元とは一切関係ございません。 二次作品に興味のない方はブラウザバックでお戻りください。
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びゅうびゅうと冷たい風が顔を打つ。
川辺のためか、身を切るような寒さ。ぶるぶると震える腕を抑えながらも、立ち上がる気力が湧かず、川面を眺めつづけた。


Saint Valentine'?s Day なぎさversion

 



今日は2月14日。所謂バレンタインデー。
昨夜遅くまでかかって作ったチョコレートはまだ手の中にある。
「やっぱり渡せないよぉ…。」
小さく一人ごちる。
バレンタインデーに手作りのチョコを渡すなんて、「貴方が好きです」と明言してるみたいで、どうしても勇気がでなかった。
深く、深く溜め息をつく。
溜め息をつくと幸せが逃げるなんて言うが、今抱え込む幸せなどない。気にせずにはぁぁと息を吐き出す。
外気の冷たさがますます自分のふがいなさを思い起こさせ頭が重くなる。片肘をつき、頭を支えた。
「きっと今頃、山ほどチョコもらってるんだろうなぁ。」
それどころか告白されてるかもしれない。可愛い彼女が出来てるかもしれない。マイナス思考に固まり頭に浮かぶのは嫌なことばかり。
「もう泣きそう…。」
滲みだした涙を堪えながら、あたしは頭を抱え込んだ。
「あれ?美墨さん?」
いきなり背後から声をかけられ振り返ると、そこには今まで頭の中を占めていた彼が、大きな紙袋を持って立ち止まっている。
「ふ…藤P先輩?!」
突然の登場に驚き、声が裏返る。彼はあたしの方へ近付き、隣に腰を降ろした。
なんで、隣に座る?!
至近距離に心臓がバクバクなる。掌にのっている渡すつもりだったチョコを思わず握りしめる。
「こんなとこでどうしたの?かなり寒いと思うけど。」
「い…いえ、別になんにも!」
目を伏せ、顔を合わせないように俯いた。
手の中のチョコが見つからないように、掌で覆ったが、それは遅かったよう。彼の視線はあたしの掌に注がれていた。
「あれ?それ…。」
珍しく言葉が濁る。
あたしは必死で次の言葉を考えた。
(えっと、これは友達とチョコ交換しようと思って…って交換出来てないじゃん!これはあたしのおやつ用…ってラッピングしてんのに?!えっとえっと!!!)
頭の中がフル回転している中、彼の冷ややかな声が響く。
「……誰かにあげるつもりだった?」
いつもと違うトーン。初めて聴く声に、あたしは背筋を震わせた。顔をあげるとそこにあったのは無表情な顔。こんな顔を見るのも初めてで、訳もわからず狼狽えた。
「えっと…一緒に食べませんか?!」
混乱した思考から飛び出したのは唐突な誘いの言葉。
彼は大きく目を見開いて、こちらを見遣った。
(何言い出すんだ、あたしは!)
心の中で自分に激しくツッコミを入れつつ、仕方なしに言葉を続ける。
「えっと、昨日作って美味くできたし、ほのかと食べようと思って持ってきたんですけど、一緒に食べれなくて!」
「………。」
無言の空気が痛い。
自分でもだから何?とツッコミを入れたい。
「えっと、だから……よかったら…。」
食べてもらえませんか?
丁寧に包んだ包装紙とリボンをできるだけ綺麗に解き、箱の蓋を開けた。
中から覗いたのはココアパウダーをふんだんに塗したトリュフ。しっかりとテンパリングした自信作。こういう細かい作業が苦手なあたしにしては、すっごくよく頑張ったと思う。
「…どうぞ。」
手に持ったチョコを俯いたまま差し出した。恥ずかしくて顔が上げれない。
「…いただきます。」
先輩の声が届いたと思うと、手が伸びてきてひとつ、チョコを摘んだ。
「…美味しいよ、美墨さん。」
「ホントですか?!」
嬉しくて嬉しくて、思わず勢いよく面を上げた。
そこにあったのはなんとも言えない雰囲気を醸し出している先輩の微笑み。
(うわーうわーうわー!!!)
なんて表情で笑うんだろう。
あんまり綺麗で見惚れて固まってしまった。
「……ありがとう、美墨さん。」
告げることはできなかった想い。だけど、ちょっぴり気持ちを渡すことが出来たような気がして、嬉しくてしかたがなかった。
Saint Valentine's Day
それは女の子が甘いチョコと共に甘い気持ちを手渡す日。

fin.


2話同時掲載です。

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プロフィール
HN:
県妙子
性別:
女性
趣味:
おもちゃ集め
自己紹介:
「ふたりはプリキュアSplash☆Star」から視聴を始める。
折角なので、無印DVDをレンタルしてみるが、それがクリーンヒット。
全てのプリキュアシリーズを視聴するに至る。
ちなみに好きなキャラは藤P。
カップリングは藤なぎ。ちょっとキリほのに萌えるものもある。
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